1.法人設立
FIA法人について
台湾において外国法人及び個人の身分で投資して設立された現地法人をFIA法人という。
FIAとは(Foreign Investment Approval=FIA)、外国人投資条例に基づいて経済部投資審議会(日本の通産省に相当する機関)による許可が必要。原則として「華僑・外国人投資のネガティブ・リスト」にある「禁止事業」及び「制限事業」に属さない業種は全て認可される。なお、外国法人は本社と独立した海外法人である。(外国人投資条例は1991年12月廃止、現在は産業昇級促進条例に改正となっている。)
FIA法人として認可される業種
- 台湾国内で必要とされる生産または、製造業
- 台湾国内で必要とされるサービス業
- 輸出に貢献する事業
- 重要な工業、鉱業または、交通に寄与する事業
- 科学技術の研究と開発に従事する業種
- 台湾の経済や社会に発展に寄与する事業
FIA法人のメリット
- 台湾で得た利益を本国へ自由に外貨送金することが保障されている。
- 外国資本の持株比率、外国人株主数、外国代表取締役及び監査役等の国籍及び居住地の制限を除外される。
- 支配配当金の源泉徴収税率が25%又は35%から20%に軽減される。
- 外国資本額がその企業の資本総額の45%以上を占めた場合、開業から20年以内に政府がその企業を収用又は買収するという規定を適用しない。
- 外国資本額がその企業の資本総額の45%以上の場合、会社法第267条の新株発行を行った場合に、一定比率 (10%~15%)の株式を留保して従業員に引き受けさせるという規定を適用しない。
- FIA法人の取締役、監査役又は支配人が一課税年度内に台湾での居留期間が183日を超えたとき、その該当企業から配当された利益は、確定申告が不要で20%の源泉徴収で課税関係が終了する。(産業促進条例13条)
- FIA法人の取締役、支配人又は技術者が台湾で投資、工場建設又は市場調査等のために一課税年度内に台湾での居留期間が183日を超えないとき、当該国外法人より支給された給与所得は中華民国の源泉所得と見なさない。(産業促進条例14条)但し、この規定について多くの疑問点が指摘され、国税局はケース・バイ・ケースで対応している。
FIA法人の申請〜設立までの必要書類
- 法人投資
項目 部数 公証人の認証 台北駐日経済文化処の認証 法人株主の登記簿謄本 1部 要認証 法人株主のFIA申請手続委任状 1部 要認証 要認証 (台湾で申請手続する代理人) 法人株主の代表者指定書 1部 FIA法人の代表取締役(董事長)、取締役(董事)、監査役(監査人)就任同意書(中国語書式) 1部 取締役会出席サイン簿(中国語書式) 1部 事務所の賃貸契約書 1部 登記住所(事務所)の建物使用ライセンスのコピー、建物税金(房屋税)の直近年度分納付証明書 1部 - 個人投資:例、以下の書類は1名の有限公司(有限会社)形態で必要な書類
PS:個人投資で有限会社(有限公司)と株式会社(股份有限公司)の形態によって書類は異なる。項目 部数 公証人の認証 台北駐日経済文化処の認証 個人株主のパスポートコピー 1部 個人株主のFIA申請手続委任状(台湾で申請手続する代理人) 1部 要認証(PS:本人出頭) FIA法人の代表取締役(董事長)、就任同意書(中国語書式) 1部 事務所の賃貸契約書 1部 登記住所(事務所)の建物使用ライセンスのコピー、建物税金(房屋税)の直近年度分納付証明書 1部
※各書類が外国語の場合は中国訳のものを添付。
※賃貸契約書と会社登記する住所の建物使用ライセンスコピー、使用建物税金の納付証明書(房屋税、直近年度)のコピーと区分使用証明書
【注】公証は日本の公証人で取得。認証は日本に所在する台北駐在日経済文化代表処での取得が必要。
申請〜設立までの流れ
STEP01 | 約3日間 | 台湾法人予定名称と営業項目の予備審査(経済部商業司) |
STEP02 | 日本での準備日数 | FIA投資申請必要な書類の作成と書類の認証作業 |
STEP03 | 約10日間 | 経済部投資審議会(投審会)へのFIA申請書作成と提出 |
STEP04 | 約10日間 | 投審会から投資認可公文書の取得(投資額5億台湾ドル以下) |
STEP05 | 1日~2日間 | 日本から台湾へ資本金振込みのための準備口座開設 |
STEP06 | 1日~2日間 | 資本金送金 |
STEP07 | 約10日間 | 出資金の査定完了(投審会) |
STEP08 | 約14日間 | 約14日間会社設立登記の許可(経済部商業司) |
STEP09 | 1日間 | 所轄税務署での税籍登記 |
STEP10 | 3日~4日間 | 英文社名の審査と輸出入商の申請(国際貿易局) |
その他の留意事項
- 製造業は、政府の規定もあり工場環境評価(工業団地入居)の申請や工場ライセンス取得があり、申請手続きや操業までの期間が一般と異なる。
- 予定会社名称と営業項目の予備調査は、使用希望の予定会社名称(漢字に限る)と営業項目を、所定様式の申請書に記載し、経済部商業司に対して申請する。これは会社名称と営業項目の重複性のチェックのためである。
この手続は日本で揃える書類の準備と並行して行う事ができる。名称が他の会社と重複している場合には、再度申請し直す必要がある。
また、認可後には銀行にて資本金振込みの為の準備口座を開設ができる。 - 製造業は、工業団地よって入居申請の手続きの流れが異なる。